自動火災報知器設備

自動火災報知設備は、感知器を用いて火災により発生する熱や煙を自動的に検知し、受信機に火災信号などを送り火災発生を知らせる設備です。音響装置は鳴動して建物内に警報を発し、避難と初期消火活動を促します。消防用設備や火災報知機の一種であるため、消防法と条例により一定面積以上の建物や店舗がある雑居ビルや重要文化財などの防火対象物への設置が義務付けられています。

自動火災報知器設備・感知器の特長

アナログ感知器

  • 火災と防排煙連動が1つの感知器で兼用できます。
  • 感度切替機能により夜間監視に対応できます。
  • 注意表示により、火災発生に対して迅速に対応できます。
  • 火災発生場所が感知器ごとに対応できます。
  • 自動試験機能付のため、定期点検時の加熱・加煙試験など点検項目の一部が免除されます。

R-AT型感知器

  • 火災発生場所が感知器ごとに対応できます。
  • 自動試験機能付のため、定期点検時の加熱・加煙試験など点検項目の一部が免除されます。

P-AT型感知器

  • 自動試験機能付のため、定期点検時の加熱・加煙試験など点検項目の一部が免除されます。
  • P型(進PⅡシステム)、R型どちらにも接続することができます。
  • リニューアル時、既存の配線をそのまま使用できます。
  • P型(進PⅡシステム)、R型(R-24CⅡシステム)に接続した場合、アドレス表示、部屋番号表示(形式がH-付のP型受信機)ができます。
  • R型に接続した場合、間仕切り変更などで発生するデータベースの変更を行わずに対応できます。

一般感知器

  • 間仕切り変更に容易に対応できます。

※自動火災報知器設備・感知器の種類

熱感知器

火災による周囲温度の上昇をとらえ、火災を感知するもの。

  • 差動式スポット型感知器
    最も一般的なもので、温度上昇率で作動します。一局所の熱効果によって作動しますので、寒い時期の暖房による誤報なども引き起こします。原理は空気室の熱による膨張をダイヤフラムの動きに変えて接点を閉じるものです。
  • 差動式分布型感知器
    こちらも温度上昇率によって作動しますが、スポットよりはるかに広範囲の熱効果により作動します。天井の高い広い工場や倉庫に適しています。感知器としての信頼性は高いものです。
  • 定温式スポット型感知器
    この感知器もよくご覧になると思いますが、差動式が温度差によって作動するのに対して、定温式はある一定の温度に達した時バイメタルが反転し作動します。温度差の激しい場所(湯沸し室・脱衣室・厨房・病院などの滅菌室等)に適しています。
  • 熱アナログ式スポット型感知器

<補足一覧>

  • 差動式:周囲の温度上昇率が一定の率以上になったときに火災信号を発するもの。
  • 分布型:広範囲の熱効果の累積によって作動するものをいう。
  • 定温式:一局所の周囲温度が一定の温度以上になったときに火災信号を発する。
  • スポット型:一局所(スポット)の熱効果によって作動するものをいう。

煙感知器

火災の初期に発生する煙ならびに目に見えない極小さい燃焼生成物をとらえ火災を感知するもの。

  • 光電式スポット型感知器
    上記が熱によって作動するのに対して、煙によって作動するものが煙感知器です。一局所の煙による光電素子の受光量の変化を利用して作動するものです。勿論タバコの煙でも直近から吹きかければ発報しますし、都市ガスでも発報する場合もあります。古くなってきますと、内部にくもの巣があったり、粉塵の多い場所での誤報等がよくあります。
  • 光電式分離型感知器
    設置場所が高い場合や、吹き抜けモール部分など一般感知器で対応できない場所に設置する感知器で、発光部と受光部に分かれていて、最長100mの距離を監視することが出来ます。減光率によって作動しますが、その種別に応じて作動してはいけない減光率(不作動減光率)が決められています。
  • 光電アナログ式スポット型感知器
  • 光電アナログ式分離型感知器
  • イオン化式スポット型感知器
    放射線の電離作用を利用して煙による電離電流の変化を感知する方式。他の方式よりも高感度である為、費用対効果に優れている面などから諸外国では主流であるが放射性同位元素装備機器に該当するため、不要になった場合の廃棄の際、注意が必要。

<補足一覧>

  • 光電式:周囲の空気が一定濃度以上の煙を含むに至ったとき、火災信号を発するもの。
  • スポット型:一局所(スポット)の煙によって作動するものをいう。
  • 分離型:周囲の空気が一定濃度以上の煙を含むに至ったとき、火災信号を発するもので、広範囲の煙の累積による光電素子の受光量の変化により作動するものをいう。火災により煙が発生すると送光部からの光が遮られ(減光し)、受光部の信号出力が変化することを火災信号に利用する。

炎感知器

物が燃焼するときに発する炎の放射エネルギーをとらえることにより、火災を感知するもの。

  • 赤外線式スポット型感知器
    炎から放射される赤外線の変化が一定の量以上になったときに火災信号を発する。
  • 紫外線式スポット型感知器
    炎から放射される紫外線の変化が一定の量以上になったときに火災信号を発する。

受信機の種類

  • P型受信機
    P型とは感知器からの信号を警戒区域毎に共通線を介し個々の配線で受信機に送り、火災を知らせるものです。感知器が作動するとベル(音響装置)が鳴り、作動した感知器の警戒する区域のランプが点灯します。
  • R型受信機
    R型とは感知器あるいは中継器から固有の信号に変換された火災信号等を共通の電路にのせ受信機に送り火災の発生を知らせるものです。
    感知器が作動するとベル(音響装置)が鳴り、作動した感知器や警戒する区域をデジタル(数字)表示をします。 (最近のものには、作動場所をよりわかりやすくするために、液晶表示装置などにより絵や文字で表示するものもあります)

※構成について

受信機・発信機・中継器・表示灯・地区音響装置・感知器から構成されます。
画像:自動火災報知機構成

関連法令

自動火災報知設備についての条例

※防火管理者の役割

  • 日常的な維持管理
  • 朝一番の確認:常に正常な状態になっているか。
  • 自動火災報知設備の警報が鳴ったら火災地区表示灯を確認し現場に直行する。
  • 非火災報だったら
    • 発生場所を確認する。
    • 発生原因はなにかを推定し、その要因を排除する。
    • 再発を防止するための、措置をする。
    • その他防火管理上必要なこと。