スプリンクラー設備

スプリンクラー設備の機能

スプリンクラー設備とは、建物内の火災により生ずる熱や炎などを感知し、自動的に水を放出することで屋内の火災を消火または抑制する設備です。

常備火災監視による初期消火

現代の建物において、不特定多数が集まる施設ではスプリンクラーが必ず設置されており、24時間・365日休むことなく火災を監視することで初期消火の威力を発揮します。

自動放水による有効消火

火災により生じる熱や煙、炎などを感知することで、即座に自動放水をすることから、火災が大きくならない初期消火を行えます。火災感知から消火までの全ての作業を自動に行うことから有効的です。

水使用・少量使用のため経済的

水は物質の内最も気化潜熱の大きいことから、効果的な冷却消火が可能です。水消火栓と同様一般火災の消火に適しており、消火薬剤交換などが不要なことから経済的です。また、一部のスプリンクラー設備は発火点とその周囲のみに放水するため、少ない水量で放水が行われます。

スプリンクラー設備の構成

水源・ポンプ・配管・自動警報弁・スプリンクラーヘッド・管末テスト弁・送水口・警報装置・非常電源等などにより構成されています。

スプリンクラー設備の種類と特徴

閉鎖型

湿式スプリンクラー

一般的に最も広く使用されています。常にポンプからスプリンクラーヘッドまで圧力水が充填されており、火災によるヘッドの開放で配管内の圧力が低下し自動でポンプを起動させる方式です。冬期配水管の凍結の恐れのない部分に使用します。
(適用対象物)一般ビル、事務所、商店、倉庫、工場など

乾式スプリンクラー

冬期間寒冷地での配管凍結の恐れのある場合等に用いられます。配管部に加圧空気を満たし、主管部との間に乾式流水検知装置を置き、圧力水と空気を遮断して、スプリンクラーヘッドの感熱部の作動によって空気を放出し、乾式流水検知装置を開いて放水する形式です。
(適用対象物)寒冷地、寒冷地で暖房のない建物、冷凍倉庫、屋外軒下など

予作動式スプリンクラー

このシステムは乾式流水検知装置に感知器を組み合わせたものです。万が一スプリンクラーの誤作動によって放水された場合、甚大な被害が予想される様な場所に使用します。火災による火災感知器の作動により、予作動式流水検知装置が開放し、スプリンクラー配管中に圧力水を送り、さらに加熱によるスプリンクラーヘッドの作動によって放水する形式です。
(適用対象物)デパート、スーパーマーケット、倉庫、病院、共同住宅、重要文化財、建造物、電算機室、通信機器室など

開放型

開放式スプリンクラー

開放型は閉鎖型とは異なり火災の熱を感知する感熱体がないため、火災感知用の装置あるいは感知器を設ける必要があります。放水は火災感知器と連動する自動、そして手動によって一斉開放弁を開いて放水する形式も可能です。一般的には一斉開放弁を使ったものが主流になります。
(適用対象物)化学工場、化学合成繊維工場、紡績工場、倉庫、劇場舞台部、地下街など

放水型

放水型ヘッド等スプリンクラー設備

放水型スプリンクラーヘッドは高天井で開放的なアトリウム、ドーム、吹き抜けなどの防護空間を広範囲にカバーできます。高天井に設置した放水型ヘッドが空間を広範囲にカバーし、一方では火災感知などとの連動によって包括した防火体制を確率します。
(適用対象物)総合体育館、空港通路、展示場、ドーム、吹き抜け、アトリウム

特定施設水道連結型スプリンクラー設備

社会福祉施設などのグループホームには病気や障害などで生活に困難を抱えた人たちが、専門スタッフ等のサポートを受けながら、複数名の集団で生活する社会的介護の形態です。
グループホームは小規模で運営されることが多く、夜間には職員人数が少ないため、防災設備の設置や管理体制を整え、火災の早期発見により、生活困難者の逃げ遅れを防止することが不可欠です。特定施設水道連結型スプリンクラー設備は警報や通報などの火災発生時への早急な対処、自動消火により、グループホームの入所者が安全に避難出来ることを目的としています。

関連法令

総務省消防庁
「グループホームなど小規模社会福祉施設の 防火安全対策」(PDF)